「髪を切りたく無いと言っている入居者さんに対して,施設の職員から短く切って欲しいと要望された時に、私はどうすればよいのでしょう。」と、介護施設に出張ヘアーカットを行っている美容師さんが、認知症発症者の支援者の講習会で相談してきた。講師は、「私は、入居者さんの意思を尊重したいと思いますが、施設や家族の方の意見を無視はできないですね、、。」と歯切れが悪い。
本来、美容師は、髪をカットして欲しいとやってきたお客さんに「今日はどんな風にしましょうか?」とにこやかに希望を聞き、お客さんも「もう少し長く、短く」と髪型を整え、いつもと違う自分を発見する。美容師は、「こちらの方がお似合いですよ。」とアドバイスをするのが仕事で、お客さんと楽しい時間を過ごす。

介護施設に入所していると言う背景から、職員さんが、カットを望まない入所者さんに、「清潔を保つために必要な事」と、定期的に美容師さんの処へ連れて来たのであれば、入所者さんのおしゃれを楽しむ時間を握り潰していることになるのではないか。
職員さんは、介助の必要な複数の入所者全員の健康と、生活全般の安全と清潔を支援するのが仕事です。入所者一人ひとりに充分な時間がかけられない事情もあり、職員目線で判断をする事も多々あると思う。美容師が、そんな施設への忖度を考えて、入所者全員が、同じ髪型になる数をこなすだけのカットはしないでほしい。仮に、私に介護が必要となり施設に入所して、相談もなくヘアーカットをされたら、そして、入所者全員が同じ髪型だったら、介護が必要になった自分に嫌気が指して、「陰険なババア」になるだろう。施設に入所しても個性が無くなる訳では無いのだから、その人の個性を見据えて、その人におしゃれを楽しむ前向きな気持ちを待たせられる美容師として活動してくれることを望むだけです。
講師とのやり取りを聞いていて、美容師さんに知っていて欲しい私の個人的な気持ちです。


